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DESIGN

2023年のミラノサローネから今後の潮流を読み解く

コロナ禍を経て、本格開催となった第61回Salone del Mobile.Milano|ミラノサローネ国際家具見本市(以下、ミラノサローネ)が4月にイタリアのミラノにて開催されました。今年は307,418人が来場し、2022年比で15%増を記録しました。世界各国から2000近い出展者によって、ミラノサローネの完全復活を印象付ける結果となりました。

デザインの熱気に包まれる1週間

インテリアや家具業界、ひいてはデザイン業界全般において最も注目度が高く、街中がデザインの熱気に包まれる一週間。
東京ドーム約9個分もあるフィエラ会場では、展示会場とは思えないような広大で豪華な作りのブースが立ち並びます。これ以上ない程の上質な空間や素材に直接触れる事が出来るのも、本物を追求し続けるミラノサローネならでは。
またFuorisaloneと呼ばれるフィエラ会場以外でのミラノ市内でもギャラリーやショールームなど、あらゆる場所で新作発表会やインスタレーション展示が行われており、国を挙げてのデザインの祭典として大いに盛り上がりを見せていました。

Fiera会場の様子
Kartell
Magis

デザインの最先端が生まれる現場では、今後の兆しとなるような様々な要素がありますが、今回はその中から今年注目のトピックスをご紹介します。

近年ではあらゆる分野で欠かすことの出来ないサステナブルの考え方は、昨年同様今年も継続しており、各社材料や製造プロセスの面でも環境に配慮した取り組みを行っていました。C-lab.ではそういったサステナブルをベースに、独自の切り口として以下の3つのポイントでまとめました。

1. ボーダーレス Borderless
2. タイムレス Timeless
3.カインドネス Kindness

Frou
Molteni&C

1.ボーダーレス Borderless
アウトドアとインドアの境界はより一層曖昧になり、自然との結びつきが高まっています。
従来ホームユース専門だったブランドが、公共空間などのコントラクトユースに向けた商品開発も行なっており、これまで培われた快適性を追求するノウハウが、住宅の外へも展開されるなど、住宅、非住宅といった境界も曖昧になりつつあります。

Baxter
porro

2.タイムレス Timeless
今年も過去の名作が新たな装いでリバイバルされ、何十年も前にデザインされたものとは思えない新鮮さをもって現代に甦っています。時代を超えて受け入れられるデザインを長く使い続けること。そこにも広い意味でのサステナブルの意思を感じることができました。

B&B italia
De Padova

3.カインドネス Kindness
家具のラインは膨らんだような緩やかなカーブを描き、ブークレ素材とのコンビネーションで全身が包み込まれるような優しさを備えています。リラックスした上質さはこれから一層重要性が高まっていく事でしょう。

注目のCMF

続いて具体的な素材に注目したCMF(color・material・finish)を一部ご紹介します。
今年注目度の高かった素材は以下の通りでした。

端正な木目の表情が際立つソリッドなブラックウッド Flexform
深みのある赤の色変化に富んだロッソレバント PIETBOON

昨年から増加傾向ではありましたが、今年は特に各ブランドの新作にブラックウッドが多く出現していました。木目の凹凸感を際立たせる黒くソリッドな仕上がりのものから、下地の木質の色を残した味のあるものまでバリエーションがありました。材種はアッシュやエルムなど、すっきりとした環孔材が主流でした。石については昨年のヴェルデマーブルと呼ばれた緑色の石に変わり、今年は赤ワインのようなシックな色味のロッソレバントが多く見られ、空間全体にも高級感を感じさせる仕上がりとなっていました。

日本市場への影響予測

様々な素材が見られた中からごく一部のご紹介でしたが、以上が今年のミラノサローネで見られた注目のデザイントレンドとCMFトピックスでした。これらのトレンドが今後日本のインテリア市場にどの位浸透して行くのか、C-lab.は以下のように予測しています。

今年特に多くみられた「ブラックウッド/アッシュ」の仕上げは、昨今インテリアトレンドとして続いている空間を締める黒の役割りを担い、尚且つそこに木目のナチュラルな素材感を追加する事で、これまでも多用されてきたメタルのような硬さや冷たさとは違った温かみを感じさせます。より人に寄り添ったブラックとして増加していくのではないでしょうか。
またハイエンドなメーカーにおいても広く展開されていた、柔らかく、包み込まれるようなフォルムの家具や、ベージュ、グレージュをベースとしたニュアンストーンは、コロナ禍を経てより一層高まる居住空間への安心感や快適さを求める機運とも相まって、日本においても浸透しやすいトレンドになると予測しています。

Poliform
Molteni&C
Poliform

以上が今年のミラノサローネからC-lab.が予測する今後のインテリアトレンドでした。しかしながらそれ以外にも見逃せない兆しがたくさん見られた今年のミラノデザインウィーク。
今回ご紹介したのはその中のほんの一部ですのでより詳しく深掘りした内容を知りたい方は、ぜひ下記のcontactからお気軽にお問い合わせください。

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