コラム

施設・店舗の空間デザイン責任者200人に聞いた コロナ禍における空間演出の変化。 今後の課題と大切にしたいこととは?

コロナ禍により、「非対面」「非接触」型のサービスやコミュニケーションが求められ、多様なビジネスにおいてオンライン化が進んでいる。「非対面型のサービス」が一般消費者に定着しつつある現在、これまでの「来店型・対面型のサービス」を展開する店舗ビジネスは少なからぬ影響を受けており、オフィスなどの施設にも顧客が訪問しにくい状況となっている。消費者や顧客の意識が変化していく中、来店型・対面型のサービスを主軸としたビジネスの厳しい状況を打破するためには、従来式の「施設や店舗を魅力的に“見せる”空間演出」に加え、どんな工夫をすればいいのだろうか。

そこで今回は、施設・店舗の空間デザイン責任者200名に「空間演出の変化と課題」について調査した。

施設や店舗デザイン
責任者の96%が
"空間演出"が重要と回答

Q.施設や店舗などの空間を 魅力的に感じさせるための演出や工夫は 利用者の満足度を高める上で重要だと思いますか

「利用者の満足度を高めるためには、空間演出や工夫が重要であるか」を聞いたところ、「重要である」「どちらかといえば重要である」と回答した人が9割(96.0%)を大きく超えた。なかでも、「重要である」と回答した人が6割超(60.5%)となっており、コロナ禍の影響を受けている現在も、空間演出の重要性を考える人が大勢を占める結果となった。

次に、「空間演出を手掛けた際に実施・検討したこと」を紹介する。

空間演出で実施・検討したことは
コロナ対策インテリア
同率でトップ

Q.施設や店舗などの 空間を魅力的に感じさせるための 演出や工夫についてお答えください(単位:%)

「空間演出を手掛けた際に実施・検討したこと」については、「感染対策などの衛生管理」(78.5%)がトップとなっており、コロナ禍の情勢・実態をダイレクトに表すデータがとれた。感染予防対策など、これまでの空間演出とは異なる新たな配慮や工夫を実施・検討していることがわかった。
一方、「インテリアなどの装飾品」(78.5%)も同率トップとなっており、続いて「内装の設計・デザイン」(78.0%)、「接客スタイル」(76.5%)、「外装の設計・デザイン」(74.5%)と、オーソドックスな空間演出の施策が順当に並んだ。
また、五感に訴えかける空間演出にも注目したい。「光による演出」(69.5%)、「音による演出」(66.0%)「香りによる演出」(61.5%)については、6割超が実施・検討していた。

次に空間演出を手掛けたことがある施設ごとに自由回答を見ていく。

空間演出を
手掛けたことがある
施設ごとの自由回答

物販系店舗
  • 「リラックスできるように、
    心地よい音楽を提供する」
    兵庫県/女性・52歳/路面店舗
  • 「香りを演出することで、
    リラックスしてもらうことができた」
    富山県/男性・59歳/路面店舗
  • 「照明を演出することで、
    商品を魅力的に見せることができた」
    神奈川県/女性・63歳/路面店舗

音・香り・光による空間演出を
行っている意見が見られた

ホテル・商業施設など
  • 「落ち着いた音響はリラックスできる
    と誉めていただいた」
    高知県/女性・41歳/ホテル
  • 「BGMによって顧客満足度が高まった」
    長崎県/男性・49歳/ホテル
  • 「BGMを流すことで、リラックスして
    買い物をしてもらえるようになった」
    宮崎県/女性・28歳/空港施設

BGMによるリラックス効果が
好評を得ているケースがあった

飲食系店舗
  • 「光による演出で環境が非常に良くなったので、
    顧客が満足できるようになった」
    千葉県/男性・36歳/路面店舗
  • 「スポットライトで店内の雰囲気を良くする」
    北海道/女性・49歳/路面店舗
  • 「香り臭がきつくないアロマが
    ほのかに漂っていることで高揚感が得られる」
    群馬県/男性・46歳/大型施設内

飲食物に影響を与えないように
工夫をしているケースが見られた

オフィス・病院など
  • 「照明による演出を商談室に
    取り入れたら取引先から好評だった」
    埼玉県/男性・52歳/オフィス
  • 「落ち着ける光を取り入れたら喜ばれた」
    熊本県/男性・64歳/病院
  • 「BGMによる演出でリラックスしていただけた」
    新潟県/男性・48歳/オフィス

光やBGMなどの演出・工夫が
利用者から好評だったとの回答があった

このように業種・業態による違いはあるが、いずれも音・香り・光などで「リラックス空間を演出するための工夫」をしており、コロナ禍で社会全体の不安感が高まる中、利用者が落ち着いて滞在できる空間づくりに注力していることが見てとれる。

半数以上が
アフターコロナ/
ニューノーマルを
前提とした
空間演出に携わっている

Q.新型コロナウイルスと 共存が必要な社会を前提とした空間演出に 携わった経験がありますか

コロナ禍の影響を受け、空間演出における新たな工夫をしている声が多く上がったが、アフターコロナの時代に向けた準備も始まっているようだ。
「新型コロナウイルスと共存が必要な社会を前提とした空間演出に携わった経験があるか」という設問では、半数以上が「経験がある」(51.5%)と回答している。
業種・業態別の内訳を見ていくと、「経験がある」と答えた人が最も多かったのは「オフィス」分野であり、回答者75名のうち、43名(57.3%)がアフターコロナを前提とした空間演出を経験していた。また、「ホテル」分野では、回答者24名のうち、15名(62.5%)、「複合施設」分野では、回答者21名のうち、11名(52.4%)が「経験がある」と回答していた。一方、「飲食系店舗」分野は、回答者数21名のうち、12名(57.1%)、「物販系店舗」分野は回答者数20名のうち12名(60.0%)が「経験がある」と回答しており、こちらも全体の6割前後を占めていた。

アフターコロナを見据え、
大切にしたいことは
安心・安全快適性
非接触

Q.新型コロナウイルスと共存が必要な社会において あなたが空間演出をする上で大切だと 思うことをお答えください

「新型コロナウイルスとの共存が必要な社会において、あなたが空間演出をする上で大切だと思うこと」という設問では、「安心・安全」(43.0%)が4割とトップとなっている。「非接触性」(26.5%)についても全体の4分の1強の回答となっており、感染対策を想起させるような選択肢が上位に並ぶ。その他、上位回答として、過ごしやすさを重視する「快適性」(33.5%)、「開放感」(26.0%)なども全体の3割前後を占めた。「オリジナリティ」(10.5%)、「新規性」(10.0%)、「トレンド」(9.5%)などの新しさを求める回答は1割前後にとどまり、「普遍性」(17.5%)、「多様性」(15.5%)など幅広い層へのアプローチを重視する回答が目立った。

魅力的な空間演出の
実現における課題は
コスト企画力
そして
仕組みづくり

Q.施設や店舗などの空間を魅力的に感じさせるための演出や工夫をする際の 課題点をお答えください

今後の、アフターコロナを前提とした「施設や店舗などの空間を魅力的に感じさせるための演出や工夫をする際の課題点」については、「コスト」(50.5%)、「企画力」(37.5%)がトップ2を占めていた。これに続いて、「コミュニケーションの仕組み」(25.5%)、「企業・ブランドの魅力を伝える仕組み」(22.5%)が上位に食い込んでいる。

しかし、新たな空間演出の企画や仕組みづくりができる社内人材がいないことに課題を感じている人も少なくはないようだ。こうした課題に向き合い、かつ、アフターコロナ時代に求められる「安心・安全・快適」な空間演出を実現するためには、経験や知識をもつ外部の力を借りることが必要となるだろう。

企画から
仕組みづくり、施工、設計まで
ワンストップで支援

社会環境の変化にともない、住宅、オフィス、ホテルや商業施設では、衛生対策だけでなく、空間の役割・価値の見直しが広がっています。「expace」は、お客さまの想いを実現することをコンセプトに、利用者が心地よく快適に過ごせる空間を演出します。また、デザイン性・機能性に優れた建装材や高精細な映像ソリューション、 センシング技術を活用したサービス等を組み合わせ、企画から設計・施工までワンストップで手掛けることにより、格別な体験が得られる空間を創り上げます。
今後、TOPPAN株式会社環境デザイン事業部では、「expace」を核にトッパングループが有する豊富なソリューションを活用し、技術・デザイン・サービスなどで独創性を持つ共創パートナーと共に、先進的な高付加価値空間の実現に向けて、空間演出コンソーシアムを展開していきます。

格別な体験が得られる
新・空間演出ブランド
expace

調査概要

調査期間:2021年9月27日(月)~9月28日(火)
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:施設や店舗の内装デザイン・設計に関与したことがある全国20歳以上の有職者 200名
調査実施機関:TOPPAN C-lab.

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