コロナ禍により、「非対面」「非接触」型のサービスやコミュニケーションが求められ、多様なビジネスにおいてオンライン化が進んでいる。「非対面型のサービス」が一般消費者に定着しつつある現在、これまでの「来店型・対面型のサービス」を展開する店舗ビジネスは少なからぬ影響を受けており、オフィスなどの施設にも顧客が訪問しにくい状況となっている。消費者や顧客の意識が変化していく中、来店型・対面型のサービスを主軸としたビジネスの厳しい状況を打破するためには、従来式の「施設や店舗を魅力的に“見せる”空間演出」に加え、どんな工夫をすればいいのだろうか。
そこで今回は、施設・店舗の空間デザイン責任者200名に「空間演出の変化と課題」について調査した。
「利用者の満足度を高めるためには、空間演出や工夫が重要であるか」を聞いたところ、「重要である」「どちらかといえば重要である」と回答した人が9割(96.0%)を大きく超えた。なかでも、「重要である」と回答した人が6割超(60.5%)となっており、コロナ禍の影響を受けている現在も、空間演出の重要性を考える人が大勢を占める結果となった。
次に、「空間演出を手掛けた際に実施・検討したこと」を紹介する。
「空間演出を手掛けた際に実施・検討したこと」については、「感染対策などの衛生管理」(78.5%)がトップとなっており、コロナ禍の情勢・実態をダイレクトに表すデータがとれた。感染予防対策など、これまでの空間演出とは異なる新たな配慮や工夫を実施・検討していることがわかった。
一方、「インテリアなどの装飾品」(78.5%)も同率トップとなっており、続いて「内装の設計・デザイン」(78.0%)、「接客スタイル」(76.5%)、「外装の設計・デザイン」(74.5%)と、オーソドックスな空間演出の施策が順当に並んだ。
また、五感に訴えかける空間演出にも注目したい。「光による演出」(69.5%)、「音による演出」(66.0%)「香りによる演出」(61.5%)については、6割超が実施・検討していた。
次に空間演出を手掛けたことがある施設ごとに自由回答を見ていく。
音・香り・光による空間演出を
行っている意見が見られた
BGMによるリラックス効果が
好評を得ているケースがあった
飲食物に影響を与えないように
工夫をしているケースが見られた
光やBGMなどの演出・工夫が
利用者から好評だったとの回答があった
このように業種・業態による違いはあるが、いずれも音・香り・光などで「リラックス空間を演出するための工夫」をしており、コロナ禍で社会全体の不安感が高まる中、利用者が落ち着いて滞在できる空間づくりに注力していることが見てとれる。
コロナ禍の影響を受け、空間演出における新たな工夫をしている声が多く上がったが、アフターコロナの時代に向けた準備も始まっているようだ。
「新型コロナウイルスと共存が必要な社会を前提とした空間演出に携わった経験があるか」という設問では、半数以上が「経験がある」(51.5%)と回答している。
業種・業態別の内訳を見ていくと、「経験がある」と答えた人が最も多かったのは「オフィス」分野であり、回答者75名のうち、43名(57.3%)がアフターコロナを前提とした空間演出を経験していた。また、「ホテル」分野では、回答者24名のうち、15名(62.5%)、「複合施設」分野では、回答者21名のうち、11名(52.4%)が「経験がある」と回答していた。一方、「飲食系店舗」分野は、回答者数21名のうち、12名(57.1%)、「物販系店舗」分野は回答者数20名のうち12名(60.0%)が「経験がある」と回答しており、こちらも全体の6割前後を占めていた。
「新型コロナウイルスとの共存が必要な社会において、あなたが空間演出をする上で大切だと思うこと」という設問では、「安心・安全」(43.0%)が4割とトップとなっている。「非接触性」(26.5%)についても全体の4分の1強の回答となっており、感染対策を想起させるような選択肢が上位に並ぶ。その他、上位回答として、過ごしやすさを重視する「快適性」(33.5%)、「開放感」(26.0%)なども全体の3割前後を占めた。「オリジナリティ」(10.5%)、「新規性」(10.0%)、「トレンド」(9.5%)などの新しさを求める回答は1割前後にとどまり、「普遍性」(17.5%)、「多様性」(15.5%)など幅広い層へのアプローチを重視する回答が目立った。
今後の、アフターコロナを前提とした「施設や店舗などの空間を魅力的に感じさせるための演出や工夫をする際の課題点」については、「コスト」(50.5%)、「企画力」(37.5%)がトップ2を占めていた。これに続いて、「コミュニケーションの仕組み」(25.5%)、「企業・ブランドの魅力を伝える仕組み」(22.5%)が上位に食い込んでいる。
しかし、新たな空間演出の企画や仕組みづくりができる社内人材がいないことに課題を感じている人も少なくはないようだ。こうした課題に向き合い、かつ、アフターコロナ時代に求められる「安心・安全・快適」な空間演出を実現するためには、経験や知識をもつ外部の力を借りることが必要となるだろう。
社会環境の変化にともない、住宅、オフィス、ホテルや商業施設では、衛生対策だけでなく、空間の役割・価値の見直しが広がっています。「expace」は、お客さまの想いを実現することをコンセプトに、利用者が心地よく快適に過ごせる空間を演出します。また、デザイン性・機能性に優れた建装材や高精細な映像ソリューション、
センシング技術を活用したサービス等を組み合わせ、企画から設計・施工までワンストップで手掛けることにより、格別な体験が得られる空間を創り上げます。
今後、TOPPAN株式会社環境デザイン事業部では、「expace」を核にトッパングループが有する豊富なソリューションを活用し、技術・デザイン・サービスなどで独創性を持つ共創パートナーと共に、先進的な高付加価値空間の実現に向けて、空間演出コンソーシアムを展開していきます。
調査概要
調査期間:2021年9月27日(月)~9月28日(火)
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:施設や店舗の内装デザイン・設計に関与したことがある全国20歳以上の有職者 200名
調査実施機関:TOPPAN C-lab.
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