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TOPコラム2023年度グッドデザイン賞受賞!「ICT KŌBŌ®」

サテライトオフィス「ICT KŌBŌ®」における地域とつながるデザイン

2023年度グッドデザイン賞受賞!「ICT KŌBŌ®」


TOPPANの次世代DX開発拠点である「ICT KŌBŌ®」が、2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。


「ICT KŌBŌ®」は、システム開発体制の構築とデジタル人財の強化や、地域の人々・企業との交流による新事業創出などを目的に設置されたサテライトオフィスです。

2020年に1拠点目がオープンしてから、現在は5か所にまで拠点が増えました。単に企業のオフィスというだけでなく、地域特有の社会課題の解決を目指した包括的地域連携実現の場となるための空間の工夫を、同プロジェクトの内装に関わった生活・産業事業本部 環境デザイン事業部の山田信之さんと今泉さやかさんにお聞きします。




山田 信之



今泉 さやか

ICT KŌBŌ®プロジェクトとは?

サテライトオフィス「ICT KŌBŌ®」は、第1弾となるICT KŌBŌ®︎ IIZUNA(長野県)を皮切りに、現在はURUMA(沖縄県)、ARIAKE(福岡県)、MIYAJIMA(広島県)、HAKODATE(北海道)が加わり全5か所に拡大しています。


ICT KŌBŌ®では、システム開発体制の構築やデジタル人材の育成など自社の次世代DXの促進事業だけでなく、地域の困りごとを解決するために、地元の人々や企業と交流し、地域活性化に向けた新しいパートナーシップを結ぶための役割も担っています。TOPPANの持つDX技術によるビジネスの共創で、地域との包括的地域連携を行っています。

地域活性化につながる内装デザインの特徴はどんなところでしょうか?

TOPPAN株式会社 生活・産業事業本部 環境デザイン事業部 コンストラクション本部 空間企画部 山田信之

山田:

すべての拠点で共通しているのは、地域の歴史文化や風土を調査して、特徴的な要素を取り入れた内装デザインを行っているということです。特にエントランスの部分は、社員が使うだけでなく、外部のお客様と触れ合う場にもなるので、施設の顔となるような設計を意識しました。私たちが運営するTOPPANの空間演出ブランドexpace®は、2拠点目以降の4か所の内装を担当しています。

 ICT KŌBŌ® URUMA

沖縄県うるま市のURUMAでは、沖縄の建物の特徴的な建材である「花ブロック」や「赤瓦屋根」をエントランスの内装に取り入れています。クロスには琉球柄を採用しました。

沖縄の特長的な建材をふんだんに使用したエントランス

琉球ガラスのペンダントライト

 ICT KŌBŌ® ARIAKE

3拠点目のARIAKEは、明治から戦後にかけて石炭産業で隆盛した福岡県大牟田市にあり、ICT KŌBŌ® が入居するのも昭和11年竣工の旧大牟田商工会議所をリノベーションした歴史的な建物です。建物自体がもつ魅力として、当時から使用されている腰壁を残し、重厚な梁を剥き出しで使用したほか、地域の特性として炭鉱施設で当時使用されていたレンガや、炭坑内で使われていたランプをイメージした照明器具を取り入れています。

大牟田の石炭産業をオマージュしたデザイン

アンティークな腰壁や重厚な梁を活かした歴史を感じる空間に

 ICT KŌBŌ® MIYAJIMA

4拠点目となったのが広島県廿日市のMIYAJIMAです。宮島を代表するのはもちろん厳島神社ですので、大鳥居と同じ朱色の塗料を内装のところどころにアクセントとして使用しました。また廿日市は木工が盛んな地域なので、木工の技術の高さを表現したいと考え、エントランスにはさまざまな木材加工品を使用しています。

さまざまな木材と朱色で廿日市らしさを表現

木材と宮島を臨む眺望が印象的なオフィスに

 ICT KŌBŌ® HAKODATE

もっとも新しい拠点となる北海道のHAKODATEは、歴史的建造物である「旧大洋漁業函館営業所」を、外観はそのままにリノベーションしたオフィスです。函館市西部地区には、この建物のような和洋折衷の建築が多く残されています。そこでエントランスの内装にも、外壁に使われる下見板張りや型板ガラスなど当時の建築の特徴を活かしました。

函館の歴史ある特長的な外観はそのままに

函館の歴史的な建築技術を内装に反映

どの拠点でも、内装設計に入る前には必ず現地調査を行っています。ARIAKEでは、大牟田市周辺の炭鉱の跡地や、入居する建物と同時期に建てられて今も現役で使われている大牟田市役所などを見学し、地域に関するイメージを膨らませました。また、MIYAJIMAの設計時には、地元の木材市場に足を運び、木工加工品の買い付けをしています。


またTOPPANは1956年に建装材事業を開始してから、様々な建装材を提供してきました。SDGsを重視した商材も多くあり、ICT KŌBŌ®でも環境に配慮して、塩ビシートではなくオレフィン系のシートを採用しています。

現在、SDGsやESGなどさまざまな観点からカーボンニュートラルへの取り組みが求められる中で、expace®だからこそ実現できる環境に配慮した内装や、地域の特性やお客さまの困りごとを解決するTOPPANのexpaceを知っていただき、オフィス空間のデザイン・設計・施工をご依頼いただけるようになればと思っています。

ICT KŌBŌ®での、働きやすいオフィスの工夫を教えてください。

TOPPAN株式会社 生活・産業事業本部 環境デザイン事業部 コンストラクション本部 スペースクリエイション営業部1チーム  今泉さやか

今泉:

企業としてのオフィスというだけでなく、地域の人ともつながれるように、シームレスな空間に仕上げています。基本的にABWを導入しているため、オフィスも当然フリーアドレスになっていて、心地良く快適に過ごせる内装を心掛けました。ICT拠点ということで、全拠点に共通して執務エリアには全席に大型のモニターを設置し、長時間座っていても疲れない椅子を導入しています。

ICT KŌBŌ® URUMA 人とつながりやすいシームレスな空間を意識

ICT KŌBŌ® ARIAKE モニター完備・椅子にもこだわり、働きやすさも考慮

山田:

リフレッシュエリアも、各拠点の特徴が出ている部分です。MIYAJIMAは、窓から宮島が眺められる場所にリフレッシュエリアをゾーニングして、景色を見ながらゆったりとくつろげる空間になっています。また、和洋折衷の2階建て古民家を利用したHAKODATEは、中2階に畳を敷いて、低い位置でくつろげるリフレッシュエリアを実現させました。

ICT KŌBŌ® MIYAJIMA 宮島を眺めながらくつろげるリフレッシュエリア

ICT KŌBŌ® HAKODATE 函館は建物の構造を活かした、畳が印象的なエリアに

グッドデザイン賞の受賞、おめでとうございます!

山田:

受賞の知らせを聞いた時は素直によろこびました。この受賞は内装デザインだけではなく、地域コミュニティの育成や、DXを通じて地域課題の解決に取り組むという広義のデザインもあわせて評価された結果だと思います。


今泉:

また今年の9月には、当社が秋葉原事業所内に設計したexpace® officeが第36回日経ニューオフィス賞を受賞しました。expace®がスタートして3年足らずという実績が少ない中で2つの賞を受賞できたということが、当社が空間事業を手掛けていることを広く企業の方々に知っていただく機会になればと考えています。


ICT KŌBŌ®が地域で果たす役割とは

山田:

各拠点での取組みはTOPPANのDXデザイン事業部が中心となって進めており、DXの推進を通じて地域の課題解決に貢献する仕組みづくりを模索しています。拠点には社員が常駐していることもあり、自治体などからご相談を受ける機会も増えたそうです。


例えば1拠点目である長野県の飯綱町では、山間部のため池の水位や、設置した狩猟罠の確認を人による見廻りで行っていましたが、積雪シーズンには困難になるという課題を抱えていました。そこで全域にLPWA(省電力で長距離データ通信が可能な通信技術)のセンサー網を導入し、異変が検知されるとアラートメールが自動的に発信される仕組みを構築しました。さらに、このシステムを積雪量のセンシングに活用することで、除雪作業の効率化による作業軽減も期待されています。


また、地域雇用への貢献も大きな役割だと考えています。地方では都市部への人口流出に歯止めがかからない現状があり、地元の人々がその地域で働く魅力的な機会を創出する必要があります。地元の人材が活躍することで、地域の課題に取り組む力強いリーダーシップを育む一助となるはずです。ICT KŌBŌ®が、ノウハウを持つ都市部と地域をつなぎ、地域コミュニティを活性化するための拠点となればと願っています。

さいごに

2023年度グッドデザイン賞を受賞したサテライトオフィス「ICT KŌBŌ®」における、地域とつながるデザインについてご紹介しました。


TOPPANでは独自の建装材やソリューションをかけ合わせ、調査・企画~設計・施工まで一気通貫で空間づくりをサポートいたします。

オフィスのレイアウト・内装デザインはもちろんのこと、拠点の構想・企画に関するご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください!


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