

GAKUYAは平山建設株式会社様が運営する、リモートワークや地域交流の拠点として活用可能なシェアスペースです。
こちらの施設にトッパンの空間演出ブランド「expace」をご採用いただき、空間企画から施工、センシングサービスの提供を一貫して手がけさせていただきました。
大型本棚を空間のシンボルとしてプロデュースしており、成田市のまちづくりの拠点として、多くの人が集うことで会話が生まれ、知識を深められるような空間を演出しています。
今回はGAKUYAオープンまでの裏側や、オープン後の反響についてお話を伺いました。
お話を伺った方
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- 平山建設株式会社
代表取締役社長 - 平山 秀樹 氏
- 平山建設株式会社
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- 凸版印刷株式会社 環境デザイン事業部 まちづくり本部 ソリューション営業部
営業担当 - 古澤 潤一 氏
- 凸版印刷株式会社 環境デザイン事業部 まちづくり本部 ソリューション営業部
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- 凸版印刷株式会社 環境デザイン事業部 マーケティング戦略本部 デザイン戦略部 空間企画チーム
担当デザイナー - 前口 祐喜子 氏
- 凸版印刷株式会社 環境デザイン事業部 マーケティング戦略本部 デザイン戦略部 空間企画チーム
人と人をつなぐ場所に
- Q.
シェアスペースをオープンしようと思ったきっかけを教えてください
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平山 氏: 企業の方や主婦の方など色んな方々が集まるまちづくりの勉強会に参加した際に、女性の方から「ただ建物を建てるのがまちづくりではない。人が集まる場所や企画を温めていく場所、例えば、成田駅周りで場所がなくて困っている学生が集まれるような場所を作っていくことが大切」というようなご意見をいただきまして、その時はまだ「コワーキング」について知識がある訳ではなかったのですが、その場で「そういった人が集う場をつくります」と宣言させていただきました。
そこから色んな方にご協力いただき、建物をまちづくりのコンセプトにきちんと合わせていくということを意識しながら作り上げていきました。
- Q.
「GAKUYA」という名前にはどのような想いがこめられているのでしょうか
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平山 氏: 集客や運営面でご協力いただいている、株式会社みなも岩崎社長から「コンセプトが非常に大事︕」というアドバイスを受けながら考えたのですが、成田は歌舞伎と縁が深いということもあり、成田の街を「舞台」とみると、働く方、商店主の方、学生の方など、皆さんが成田という舞台の「俳優・歌舞伎役者」であるならば、その「楽屋」があってしかるべきだろうと。
土地や建物はどうしても「これは自分のものだ」というようになってしまいがちですが、これまでまちづくりに関わるなかで、一つの場所を一人で独占するのではなく、皆で共有する・シェアすることによって、その場所がより豊かになっていく様子をみてきました。
「GAKUYA」が人と人をつなぐ場所として、ふるさとづくり・まちづくりへつないでいければという想いを込めました。
空間コンセプトは「本の庭」
- Q.
トッパンと出会ったきっかけを教えてください
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平山 氏: 共通の知り合いを通して、トッパンさんの秋葉原にあるショールームに伺ったのが始まりです。
もともとは別の案件だったのですが、「GAKUYA」のお話をしたところトッパンさんに乗っていただき、ご提案いただいたという流れです。
- Q.
空間提案にあたってどのようなことをポイントとしましたか
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古澤 氏: トッパンの建材を用いて空間を美しく仕上げることはもちろんですが、それだけではなくて、施設の混雑状況が分かるセンシングサービスの「nomachi」や、利用者のリフレッシュを促す「your space」といったサービスも入れ込み、デザイン面だけでなく利用面も含めて、総合的に空間を演出することを目指しました。
前口 氏: 提案するにあたり事前にがくや・みなもプロジェクトの資料を共有頂いたのですが、その資料にがくや・みなもプロジェクトへの思いやブランディングやコンセプトなどがしっかりと綴られていました。さらに今回のスペースに対しての成田のまちの皆様へのアンケート結果まで添付されていました。資料やお話から、がくや・みなもプロジェクトの皆さまが「まちに必要な場所はどういうものなのか」「まちの人はどういうスペースを欲しいと思っているのか」ということに真摯に向き合われていることを感じ、その思いを反映できるようにデザインしていこうと思いました。
そこで成田のまちの特徴である「お祭り」や「自然」などを空間に取り入れ、さらに今回の空間のシンボルとなる「本棚」を加味して、空間デザインのコンセプトを「本の庭」という言葉でご提案させて頂きました。
コンセプトから初期提案では空間の中に植栽も入れ込んだナチュラルな空間をご提案していましたが、話し合いを進める中で今回の場合は「庭=自然に囲まれた場所」というより、「庭=本や情報に囲まれた、人々が集う縁側のような場所」として作り込んでいった方が良いと感じました。
そこで「庭」という空間を作るために取り入れる外の要素、成田のまちの要素は「お祭りの時の成田の参道」をイメージし、それに沿う形で空間デザインを決めて行きました。
例えば参道をイメージして天井にFORTINAのルーバーを配置したり、メインの本棚は参道沿いの建物の建具のイメージや違い棚の要素を取り入れたデザインにしました。カラーコーディネートもお祭りの灯りに照らされた参道をイメージしておこなっています。nomachiにより混雑状況がリアルタイムに分かる︕
参道のイメージを取り入れた空間
平山 氏: 本の庭、縁側のような空間っていうのをご提案いただいて、実際に窓から見える景色が“縁側”のようで、緑も良く見えるんですよ。これをご提案いただいたのはすごくぴったりで良かったなと思っています。
私たちのまちづくりに対する思いも受け止めてくださって、非常に良い空間ができたと思います。前口 氏: そう言っていただけて良かったです︕
開放的な窓側のカウンター席は成田の景色を見渡せます
インパクト大︕情報を発信する本棚
- Q.
特に気に入っているポイントはありますか
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平山 氏: やはり本棚ですね。本棚にある情報を壁面に表示する「インフォウォール」はとても反響をいただいています。
投影で情報を映していると思われる方が多くて、壁の中から情報が浮かび上がってくるということに皆さん驚かれています。古澤 氏: ヤフーニュースやチバテレビでも取り上げられていましたね。
平山 氏: インパクトのあるものは大事だなと感じています。SNSでも拡散していただいており、SNSを見てGAKUYAに来てくださる方も多いです。
シェアスペースの情報を発信する本棚ということで、本の庭というコンセプトにも非常に合っていると思います。
今後もっとこの本棚を通じた成田の情報発信をやっていきたいと思っていて、「このコーナーを見たら成田の情報が揃います」というような形にできればと思っています。
本棚にあるインフォウォールでは様々な情報を発信中 - Q.
オープン後の反響はいかがでしょうか
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平山 氏: いろんなメディアに取り上げていただいたり、利用登録者数も1ヶ月で100名を超え、滑り出しは順調です。
利用される方の中には、1日中いてくださる方も多くて嬉しく思います。
想いを持った空間づくりをすると人が集まってきてくださるということを改めて感じています。
連携してまちづくりを
- Q.
今後トッパンに求めることがあれば教えてください
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平山 氏: トッパンさんは建材だけでなく、非常に幅広い領域をやられているので、例えばまちの情報を流すインフラを一緒につくったり、ということもできたらいいですね。岩崎社長のみなもさんでは、わざと人通りを密集するようなレイアウトや椅子の角度など徹底的に勉強されているので、そういった部分もしっかり抑えつつ、それぞれ連携していろんなメニューを組み合わせながら、一緒にまちづくりを考えていけたらと思います。
古澤 氏: トッパンはDX(デジタルトランスフォーメーション)に力を入れ、さまざまなサービスを展開して参りますので、今後も連携させていただき、成田のまちづくりにぜひ貢献していきたいと思います︕
左から岩崎代表(株式会社みなも)、平山社長(平山建設株式会社)、青木氏(凸版印刷株式会社)、古澤氏(凸版印刷株式会社)